早期リタイア(FIRE)

早期リタイア(FIRE)を達成する方法は?FIREに最適な投資法について解説!インデックス投資、米国株と世界株など。

 これまでの記事では、①FIREを達成すれば幸せになれる可能性が極めて高い事②FIREの達成には1200~4600万円必要である事③FIREを達成するためには8~17年かかる事を示してきました。今回の記事では、FIREを達成するための具体的な方法について、根拠のある様々なデータを用いて解説したいと思います。

 【結論】インデックス、特に全世界株式へ投資する。具体的には、eMAXIS Slim 全世界株式もしくは楽天全世界株式インデックスファンドへ投資する。

 既にFIREを目指されている方にとっては、聞いた事のある内容かもしれません。しかし、現在の投資内容がFIRE達成にとってベストである理由を理解しておく事は、非常に重要だと思います。また、これからFIREを目指す方にとっては、数多くある投資先の中から、FIREに適した投資先を探し出す事は大変かと思いますので、参考にして頂ければと思います。いずれにしても、これから紹介する投資先が、なぜFIRE達成に適しているか、根拠のあるデータを用いて解説しますので、ぜひご一読下さい。

FIREにはインデックス投資が最適である理由

株式、債券、ゴールド、現金の利回りの比較

 まず、図1を見てください。これは1802年から2013年の超長期に渡る、米国の株式(Stocks)、債券(Bonds, Bills)、ゴールド(Gold)、現金(Dollar, 米ドル)の利回りを計算したものです。これより、債券、金および現金に比べて、株式の利回りが明確に高い事が分かります。
 現金については、-1.4%となっていますが、これは物価が毎年1.4%増加した事で、現金の価値が相対的に1.4%低下した事を意味します。例えば、物価上昇率1.4%の場合に、銀行口座に1000万円を20年間預けておくと、20年後の1000万円の価値は875万円になります。世界最大のヘッジファンドの創設者であるレイダリオ氏が、「Cash is trash (現金はゴミだ)」と言った理由はここにあります。
 株式の利回りはと言うと、名目上の利回りは、6.7%+1.4%=8.1%となります。図の上部にReal Returnと記載されていますが、これはインフレ率を差し引いた事を意味しますので、その分を補正したという事です。実質利回りは、インフレ率すなわち住む場所や時代によって異なります。アメリカの場合は、図1に示すように6.7%(8.1-1.4)ですが、近年の日本はインフレ率がほとんど0ですから、実質利回りは8.1%(8.1-0)となります。
 注目すべき点は、もう一点あります。それは、赤の実線で示すように、株式は200年間に渡り継続して上昇している点です。例えば債券では、図1より、長期間横ばいの時期があるため、資産が増加しない事で、なかなかFIREを達成できなかったり、FIRE後に生活が破綻するリスクがあります。一方、株式は長期間に渡り上昇していますから、このようなリスクは小さく、FIREに適した投資対象であると考えられます。

図1. 株、債券、ゴールド、現金の利回り
(出典元)https://www.marottaonmoney.com/real-returns-favor-holding-stocks/

株式投資:インデックス投資と個別株投資について

 図1の結果は、米国株式市場全体の利回りを表しているため、インデックス投資を行った場合の利回りと捉える事ができます。インデックス投資とは、例えば、アマゾンやマイクロソフトなどの特定の企業に投資するのではなく、アメリカ全体あるいは世界全体へ投資する事をイメージして頂ければ分かりやすいかと思います。インデックス投資を行う事で、図1に示すように、長期に渡り継続してリターンを得る事ができるため、私は、FIREにはインデックス投資が適していると考えています。
 個別株へ投資した方が、大きなリターンを得られると思う方もいると思います。例えば、イーロンマスク率いるテスラモーターズの株価は、1年間で約10倍まで上昇しています。利回りは、インデックス投資の100倍以上になりますので、テスラのような企業を毎年見つける事ができれば、100倍速くFIREを達成できる計算になります。しかし、テスラの株価が10倍になる事は、1年前にはほとんどの人が気付いていませんでした。もし多くの人が気付いていたならば、買いが殺到するため、株価は1年前の時点で10倍になっていたはずだからです。また、逆に株価が大幅に下落する事もありえます。例えば、2000年のドットコムバブル崩壊では、あの有名なソフトバンクの株価は、1/50以下まで下落しています。これは、3000万円貯めてFIREまであと少しと思っていたのに、仮にソフトバンクに投資した場合は、資産が60万円になる事を意味します。想像するだけでゾッとします。こうなると、当たれば早くリタイアできるけど、外れれば振り出しに戻る可能性があるので、投資ではなくもはやギャンブルだと思います。
 もしかすると、皆さんの中には、「俺は、ちゃんと調べて、よく考えて投資するから、そんな過ちは犯さないよ」と思う方もいるかもしれません。SPIVAというサイトに、インデックス投資をした場合と、アクティブファンド(プロの投資家が運用する)へ投資した場合で、どちらが優れたリターンを出したかが記載されています。米国の場合、プロの投資家の勝率は、直近1年で42%、3年で33%、5年で27%、10年で17%となっています。つまり、いずれの場合も、プロはインデックス投資に負け越しているという事実があります。また、期間が長くなるほど勝率が低下している事から、投資手法に再現性がないと考えられますから、1年目の42%という勝率よりも17%の方が真値に近いと思われます。プロでも、17%しかインデックス投資に勝てないのです。
 ここで言うプロとは、投資を専業にしている個人ではなく、○○証券や○○ファンドなどの投資を本業にしている会社の事を指します。つまり、毎日8時間以上、週5日間以上を投資に費やしているプロがインデックス投資に負け越している事実があるのです。平日働いている私達が、土日の限られた時間だけ様々な投資先を調査し、プロを超える運用成績を上げる事は現実的でしょうか。そう考えると、私達のような会社員は、難しい事は考えずにインデックス投資を行い、土日は自分の好きな事をして幸福度を上げる事がベストだと思います。それでも、プロを超えるリターンが得られるのですから。
 ちなみに、プロよりもインデックス投資が平均して優れたパフォーマンスを出す事は、ウォール街のランダムウォーカーという書籍にも紹介されています。こちらの本は名著として有名ですが、ページ数も多く読むのが大変なので、貧乏人のデイトレ金持ちのインベストメントという本の方が読みやすいのでおススメです。
 その他の投資方法として、不動産投資を思い浮かべた方もいるかもしれません。不動産投資については、私も検討した事があり、関連書籍を10冊以上読みました。不動産投資のメリットはやはり、銀行からの借り入れを行う事でレバレッジをかけて、手持ち資金以上の物件を購入できる点にあると思います。例えば、手持ち資金200万円を利回り10%で投資する時、株式投資の年間利益は200×0.1=20万円ですが、不動産投資にて、2000万円を借り入れて物件を購入した場合の粗利益は2000×0.1=200万円となります。実際には、借入金の返済やその他諸費用を差し引くと、純利益は40-60万円程度のようですが、それでも株式投資に比べて大きなリターンを狙う事が可能です。
 しかし、実際には利回りの良い物件を探す事は非常に困難なのが実情です。不動産投資で有名な法則に、1000:100:10:3:1の法則という経験則があります。これは、著名な不動産投資家であるドルフデルース博士が発表したもので、1000件の物件を調査して、その中で優良と判断した物件を100件見学し、結果買いたいと考えた10件に申込を行い、その中で購入権を勝ち取った3件に対して融資をもらうために銀行周りをして、ようやく1件購入できるというものです。正直、考えただけで眩暈がしますが、これくらい労力を割かないと優良物件は購入できないのが実情です。実際に、私は有名な不動産売買サイトの楽待で優良な物件を探そうとしましたが、確かに、利益がそれなりに出そうで見学してみたいと思った物件は、数十件確認して1件といったところでした。基本的に、優良物件はインターネットに出回らず、優良顧客に優先的に紹介されるようです。不動産会社からすれば、融資が下りずに売買不成立となるリスクのある顧客をインターネットで探すよりも、実績のある優良顧客に紹介した方が手早く売買できるので、当然の流れだと思います。
 また、努力して優良物件を買えたとしても、将来、地震や火災あるいは事故の発生は予想しようがありません。もし物件が全損となった場合、物件価格、例えば2000万円がそっくり借金へと変貌します。FIREを目指しているのに、借金を抱えるリスクを負うようでは本末転倒だと思います。このような理由から、莫大な資産を築くことを目的としているならば、レバレッジを効かせられる不動産投資は適しているかもしれませんが、低リスクで安定的な収入が必要となるFIREには適していないと考えられます。
 以上のように、個別株にしろ不動産投資にしろ、1つの投資先に資金を預ける事は、失敗すれば無一文あるいは借金を抱える事になるほど、極めてリスクが高くなります。そして、その投資が成功するか失敗するかは、先にデータで示したようにプロでも分かりません。しかし、1つ言える事は、投資先の幅が広がるほど、将来を予想しやすくなるという事です。例えば、昨今AI時代に突入しつつあるためAI関連株はブームとなっていますが、あまたあるAI関連株の中から今後成長する1つの企業を見つけるのは至難の業です。しかしながら、AI分野が伸びるのは間違いないため、AIのインデックスファンドに投資すれば、個別株に投資するよりも失敗のリスクを減らす事ができます。
 この考え方を株式全体に適用して導かれるのが米国株、新興国株および全世界株などスケールの大きい投資先へのインデックス投資です。つまり、1つの企業が今後成長するかどうかは誰にも分からないが、地球規模でみれば、人類は長期的に発展してきており、それは今後も続くと信じられるので、国や地球全体に投資する事が最も信頼できる投資法だという事です。そして、事実、図1にアメリカ株を例示したように、インデックス投資は200年以上に渡り、継続して年8%のリターンを出し続けています。

インデックス投資:世界株と米国株はどちらがいいか?

 上記では、FIREを達成するためにはインデックス投資が適している事を示しました。インデックス投資と一言に言っても、日本、米国などの国への投資や、新興国、先進国、世界などのグループへの投資など様々です。私のスタンスとしては、上記で述べたように、FIREを確実に達成するためにも、信頼性の高い地球全体への投資が好ましいと考えています。しかしながら、近年の米国株のパフォーマンスが非常に優れている事もあり、世界株よりも米国へ投資した方が良いと考える人も少なくありません。そこで、FIREを目指す上で、全世界株と米国株どちらの投資が適しているかについて検討しました。

 以下に、米国株が魅力的であるポイントをまとめました。
1.国として株価を上げる事を正としているため、株価が上昇するための土壌ができている。
2.成果主義の文化であるため企業の業績が伸びやすい。
 (日本は成果の影響が弱く、年齢で給料が上がるシステムのため業績が伸びにくいと思います)
3.海外でもビジネスを展開している事から、ワールドワイドな広いマーケットで利益を得ている。
 また、資本の規模が大きい事から世界的なビジネスでも勝ちやすいですし、国家規模で世界一の国を維持しようとしているので、正直、アメリカが衰退していくのは想像ができません。

米国株vs.世界株:リターンの比較

 では、実際に米国株と世界株のリターンを比較してみましょう。図1は、1989年以降の米国株と世界株のチャートを比較したものです。これより、米国株は世界株の2.7倍(1759÷661)高いリターンを示している事が分かります。この期間については、米国株の圧勝ですね。

図1(出典元)https://media.rakuten-sec.net/articles/-/25502?page=2

 では、次に図2を見てください。今度は上記から10年後の1999年以降の米国株と世界株のチャートになります。すると不思議なことに、米国株と世界株のリターンはほとんど変わらない結果となりました。今回のリターンの差は、1.18倍(320÷270)でした。前回も今回も米国株のリターンが優れている事は間違いないのですが、比較する期間によってリターンの差が大きく変わるという事が分かりましたね。

図2(出典元)https://money-bu-jpx.com/news/article022149/

 では、何故ここまで大きなリターンの差が生まれたのでしょうか。図3は、米国株と世界株のパフォーマンスの違いを示したグラフです。両者間に差がない場合、縦軸の値は100となります。つまり、100より高い場合は世界株のリターンが大きく、100を下回る場合は米国株のリターンが大きい事を意味します。
 さて、図1で説明したように、1989年以降は米国株が世界株を圧倒していました。これを図3に照らし合わせてみると、1989年以降、グラフは右肩下がりに推移している事が分かります。1989年では180だったものが2019年には35となっており、これが1989年以降の期間で米国株が圧勝だった事を裏付けています。
 次に、図2では、1999年以降は米国株と世界株にあまり差がないという結果でした。同じように図3で確認すると、1999年以降はいったん右肩上がりとなった後に右肩下がりとなっています。1999年に約50だったものがいったん約90まで上昇し、最終的に2019年に約35まで低下しています。最終的な変化は、50→35と小幅であったため、米国株と世界株のリターンにあまり差が生じなかったという事です。

図3(出典元)https://gentosha-go.com/articles/-/28237

 なんだ、結局米国が強いじゃんと思われるかもしれませんね。確かに、事実はそうだと思います。しかし、見逃してはならないのは、図3の1979年~1989年では、数値が100→180と変化している事から、世界株のリターンが圧倒的に高かったという点です。この事は、2000年~2007年のドットコムバブル崩壊の期間についても言えます(約50→約90)。つまり、米国株が必ずしも強かったわけではなく、ここ40年間の間に、約17年という長期に渡って世界株を下回る期間があったという事です。
 これを分かりやすくしたのが、図4です。これより、ここ50年間で、米国株のパフォーマンスが優れていたのは1990年代と2010年代だけである事が分かります。この事から、今後、米国株が他国に比べて、ずっと高いパフォーマンスを出し続けるとは決して言えないでしょう。

図4(出典元)https://www.pictet.co.jp/investment-information/market/deep-insight/20200722.html

米国株と世界株どちらに投資すべきか?

 では、FIREを目指す上で適した投資先は、米国株と世界株のどちらでしょうか。これを決める上で重要な事は、未来は誰にも分からない事を前提に行動する事だと思います。米国株に集中投資して予想が当たれば、確かにFIRE達成までの期間を短縮する事ができるでしょう。しかし、目論見が外れて、予定よりも時間がかかる可能性は十分にあります。私は、FIREを目指している方にとって一番のダメージは、働く期間が数年間延びるてしまう事だと思います。
 また、これまでの説明から、世界株のリターンが低いと感じた方がいらっしゃるかもしれませんが、実際は決してそうではありません。例えば、図5には、世界株の時価総額の推移を示しますが、1995年で15兆ドルだったものが、2020年には92兆ドルとなっており、平均利回りは7.5%(15×(1.075)^25=91.5)となります。図1から計算された米国株の平均利回りが8.1%でしたから、世界株へ投資しても米国株と同程度のリターンが得られる事になります。この理由の1つとして、世界株の時価総額の半分が米国株である事が挙げられます。つまり、世界株へ投資すれば、自動的に資産の半分を米国へ投資する事になるため、米国のリターンも十分に享受する事ができます。また、図4の1970年代や2000年代のように、米国が振るわない期間が10年間続いた場合、FIRE達成は10年間遅れてしまいます。しかし、世界株へ投資しておけば、米国が振るわない期間は他国のリターンを享受できるため、FIRE達成が遅れるリスクを下げる事ができます
 以上の事から、私は、初心者がより確実にFIREを達成するためには、世界株へ投資する事を推奨いたします。

図5.出典元(https://www.yukimatu-value.com/entry/2020/02/12/102300)

まとめ

 さて、今回は、FIREに最適な投資方法について解説しました。急がば回れの通り、焦ってギャンブルのような投資をしてしまっては、FIREが遠ざかる事態になり兼ねません。無理な投資をして、結局、定年退職になってしまったという事態にはなって欲しくありません。少し時間はかかるかもしれませんが、堅実に安定してFIREを達成する事が一番の近道です。FIREをより早く達成したいのであれば、資産を減らすリスクをおってまで無理な投資をするのではなく、節約や副業などにより投資可能額を増やす事が正解だと思います。
 今回の記事で投資を始めたいと思った方は、こちらでおすすめの投資信託について解説していますので、ぜひご一読頂ければと思います。

  本日はお疲れ様でした(- -)( _)ペコリ

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関連記事②:節約方法
関連記事③:FIRE達成にはいくら必要か何年かかるか